対決!「Kali Linux」対「Parrot OS」
Linuxのディストリビューションとは?
皆さんはLinuxを利用されていますか?サーバー管理のような仕事をされている場合は、当たり前のように使っているかもしれませんが、そうでない方は、あまり馴染みがないかもしれません。
セキュリティを扱っていく上では、Linuxの知識があると、大きく活躍の幅が広がります。
今回は、セキュリティに携わる人にとって関わりの深い、「Kali Linux」と「Parrot OS」についてご紹介していきます。
まずは基本事項として、ディストリビューションという言葉をおさえておきましょう。
LinuxのようにOSは、核となる部分をカーネルと呼んでいます。このカーネルはOSの基幹的な働きを司る、非常に大事な要素ではありますが、カーネルだけではコンピューターを動作させることはできません。
利用者の操作やコマンドを解釈するインターフェイスである、シェルや、その他便利に使うためのソフトウェア群を導入して、初めて動かすことができるようになるのです。
このソフトウェア群の選定方法には、いろいろな考え方があります。目的や用途によって、組み合わせを定めて、パッケージ化し、それを利用したい人が活用していく。そんなサイクルが成り立っているのです。
このパッケージのことを、ディストリビューションといいます。
そして、このディストリビューションのうち、セキュリティの専門家や、これからセキュリティを学ぼうとしている人達に人気が高いのが、先ほど挙げた、「Kali Linux」と「Parrot OS」です。
セキュリティ指向のディストリビューションには他にも種類がありますが、今回はこの2つの長所や短所を比較していきます。
セキュリティでの定番Kali Linux
まずはKali Linux(以下Kali)から見ていきましょう。Kaliはセキュリティ系のLinuxディストリビューションの中では、定番中の定番ともいえるものです。業界内で事実上の標準になっています。
Kaliは、ペネトレーションテストと呼ばれる、セキュリティ診断に用いることができるアプリケーションを豊富に予め用意しています。
セキュリティ系のディストリビューションでなくても、Linuxであれば、自身でソフトウェアを調達し、インストールすることによって利用することは勿論できます。しかし、ソフトウェアによっては、このソフトウェアを利用するためには、あちらのソフトウェアが必要、といった依存関係があったり、そもそもインストールするのが大変だったりします。
環境を整えるのにかなり手間がかかってしまう、ということになります。Kaliでは予めセキュリティの業務や学習で用いるアプリケーションが用意されているので、その面倒を無しに、即使い始めることができます。これが最大の利点と言えるでしょう。
このアプリケーションの総数は600以上ともいわれています。しかも、ただたくさん導入しているというだけではなく、厳選された、重複のないものが網羅的に提供されていると言えるでしょう。セキュリティアプリケーションの数は、かなりに登りますが、それをやたらに数を揃えるのではなく、きちんとしたポリシーを基に用意しているという感触が強いです。
また、業界で広く利用されているため、コミュニティが強力です。Kaliは、Offensive Securityという会社によって開発・運営が行われており、基盤が盤石です。同社はKaliの研修カリキュラムを手がけたり、セキュリティの資格提供でも有名な企業ですので、その信頼性は非常に高いと言えます。
コミュニティが強力だということは、学習がしやすいということに直結します。ネットや書籍等で入手できる情報が豊富ですので、大抵の困ったことはそこで解決することができるでしょう。
では短所はあるのでしょうか?
勿論万能なディストリビューションはありません。これは利用者の目的によっても大きく変わるため、使い手によってはKaliのもつ特徴は短所にもなり得ます。
まずは、若干の不安定性が指摘されているということがあります。KaliはLinuxのうち、Debianという系統のOSですが、Debian Testingという、安定性よりも先進性を指向したバージョンをベースにしています。そのため、どうしても安定性には懸念がでてきてしまうのです。
また、比較的Linuxの初心者にはとっつきづらい所があります。ある程度のスキルを持った人の利用が想定されており、特にカスタマイズして用いるには、ハードルが少々高いといえます。
対抗馬 Parrot OS
一方のParrot OSを次は見ていきましょう。こちらは特に近年、Kaliの対抗馬として、注目度を急速に高めているディストリビューションです。
その特徴は、初心者に易しい作りだという点が挙げられます。操作感は直感的に理解できるシーンが多く、ユーザーフレンドリーになるよう細やかな工夫が取り入れられています。これはKaliと比較すると、より顕著に思えるでしょう。
また、安定性も見逃すことができない特徴です。Parrot OSもDebianベースのLinuxになりますが、こちらは安定版を使用しています。そのため、動作にはかなりの信頼性を置くことができるでしょう。
初心者にとってはシステムトラブルの対処は大きな難関になります。その懸念が大きく減るのはParrot OSを用いる利点と言えるでしょう。
Parrot OSも、Kaliと同様にさまざまなセキュリティアプリケーションを予め用意しています。そのため、手間なく即時にセキュリティのために利用できるのは、Kaliと遜色ありません。ただ、Kaliと比較した場合、ツールの数としては少なめな印象があります。アプリケーションのラインナップとしては、プライバシー情報の保護を目的としたツール(ダークウェブを使用するためのTorブラウザ等)が豊富に用意されている所にParrot OSの大きな特徴があると言えます。
最後に、Parrot OSの特徴として見逃せないのが、動作が軽量であることです。ハードウェアに要求されるスペックが少なくて済みますので、軽快に用いることができるでしょう。
ディストリビューションに勝ち負けは無い
ここまで、KaliとParrot OSを比較する形で紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
繰り返しになりますが、どちらが常に好ましいというディストリビューションはありません。利用者の熟練度や利用目的、考え方によって最適なディストリビューションは変わってきます。
両者の特徴をよく理解して、自分に合ったものを活用するのが良いでしょう。
なお、どちらのディストリビューションも使用している、という専門家も数多くいます。用途に合わて使いこなすことも、ぜひ考えてみてください。