セキュリティエンジニア必見!技術的好奇心を満たす「私的ラボ」のススメ
ラボのさまざまなメリット
皆さんは技術的な事柄に興味はあるでしょうか?特にエンジニアという職種の方は、ある程度の好奇心があるかと思います。IT全般に言えることですが、セキュリティエンジニアでも同じことです。この技術的好奇心は、それぞれが持つ強みに直結します。それを強化するために有効なアプローチが、私的なラボを持つことです。
ではどうして、私的なラボを持つのが有効に働くのでしょうか?そこにはさまざまな理由がありますが、一番は業務で利用している環境や、あるいは検証用の専用環境であっても試すことができないことが、自由自在に行えるからです。セキュリティの技術的な要素は、しばしば環境自体に破壊をもたらします。また、例えばマルウェアの動きを解析しようとしたところで、意図せずにうっかり動作させてしまい、感染が拡大してしまうことも想定しておかなくてはいけません。そういったことを考えると、業務用の本番環境や検証環境自体で気軽に試行することは難しくなります。セキュリティ専門事業者のラボであればともかく、セキュリティをこれから学習しようとしている人や、企業の情報システム部門の人にはそのような専用環境を組織に用意してもらうことは難しいと考えられます。
PC上の仮想環境を用いたラボ
私的ラボを構築するにはさまざまな方法があります。ここではそのいくつかをご紹介します。
まず挙げられるのは、PC上に仮想環境を用意することでしょう。最近ではVirtualBoxのような通常利用しているWindowsのようなPC(ホストOS)の上でさまざまなOS(ゲストOS)を動かすことができるツールが充実しています。これを利用して、環境を整備するのです。
初期投資としてPCの費用がかかるのが悩みどころではありますが、かなり柔軟な設計ができるのがこの手法を採用するときのメリットです。
複数のゲストOSを動作させることもできますし、その中で仮想のネットワークを組むこともできます。このネットワークは構成の仕方によっては、外部に影響を与えないようにクローズドな設定にすることもできますので、ラボ内で発生した問題を内部にとどめることができ、安全です。
また、仮想で動作するゲストOSは、簡単にスナップショットと呼ばれるバックアップを取得することができるのも大きな利点です。
破壊的な要素を伴う調査をした場合や、マルウェアを動作させて挙動を検証する場合に、その環境を壊してしまうことはままあります。そういった時に最初から作り直すのは大変です。スナップショットを活用すれば、すぐに正常だったグリーンな状態に戻すことができますので、こういった用途に利用するのに最適です。
このためにPCを用意する際には、リソースを多めに検討するのが良いでしょう。特に搭載メモリの量は重要です。
クラウド環境を利用したラボ
最近ではAWSやAzureのようなパブリッククラウドの活用が盛んです。こういった最先端の技術を活用することで、私的ラボに役立てることもできます。
例えば、クラウドを活用して仮想サーバーをインターネット上に構築すれば、それに対してセキュリティ診断をかければ、診断の流れを理解したり、診断結果が実際どのように出力されるのかを把握できます。
また、仮想サーバーを構築するだけでもインフラの知識が身につきます。セキュリティの学習をする上で、ネットワークやサーバーのようなインフラの動きを理解することは必須ともいえます。このようなら基盤技術を簡単に試すことができるのがクラウド活用の大きなメリットです。
また、クラウドサービスはセキュリティ機能も充実しています。仮想サーバーやネットワークを立てれば、ファイアウォールのような基礎的なセキュリティは付随してきますし、最先端の高度なセキュリティサービスも各社が競うように開発しています。これらを活用することで、気軽にスキルを高めることができるでしょう。
クラウドは手軽に利用できるが大きなメリットですが、一般に従量で料金がかかります。その点は特に慣れないうちは予想が難しいこともありますので、料金が一定額を超える場合に警告をだすようなサービスを併せて活用することをおすすめします。
安価なUTMのラボ活用
最後におすすめしたいのが、UTMの活用です。UTMはネットワークの出口に設置する、ファイアウォールやIDS、Webフィルタリング機能などが一体となった機器です。
一般家庭で購入するには、少し機器やライセンスの費用は高額になることがありますが、中古市場に出回っている安価なものでもラボとして試すだけなら活用することができます。ライセンスが切れているものでも、最新の検知ができないだけで、既存の脅威に対抗するには十分であるケースが多いためです。(このあたりのライセンスが切れた際の挙動は確認した上で導入しましょう)家庭の環境を守る、と合った用途には不足ですがラボであれば問題ありません。
UTMを私的ラボに導入すると、さまざまなセキュリティ機能がどのように活動するかを簡単に試せます。擬似的な攻撃をしかけて、それをUTMのIDS機能が検知する状態などを観察できます。これにより、それぞれのセキュリティソリューションがどのような役割を果たすのかについて理解が深まります。
また、ネットワーク機器の動作の理解にも役立ちます。インフラについての理解が重要なのは前述の通りです。
まとめ
このように、私的ラボを用意することで、特にエンジニアにとって重要な技術力を高めることができるようになります。
日々疑問に思ったことを即実践できることで、学習効率は格段に上がります。ぜひ私的ラボの導入を検討してみてください。コストは多少かかりますが、その分の効果が得られることでしょう。
現在では、さまざまな仮想技術やクラウド技術が発展していますので、それらを有効に活用して、ぜひ自分だけのラボを構築してみてください。それがセキュリティのスキルを確実に高めてくれるはずです。